OpPower0901


高速オペアンプ+カレントミラー型バッファ型パワーアンプの製作


[1]回路図

ここに回路図を示す。
高速オペアンプ LM7171 にバイポーラトランジスタ(2SA1930,2SC5171)を使用したカレントミラー型バッファをつけた回路だ。
増幅率は20dBで出力8Wx2となっている。
カップリングコンデンサの積層セラミックコンデンサは低域の歪を防ぐため大容量(47uF)のものを用いた(文献1)。
この回路図は本来電流帰還オペアンプ LM6181 用に書いたものだが調整中に LM6181 が焼損してしまったため手持ちの LM7171 を使用することにした。

[2]製作(写真)

(1)外観

(2)内部


[3]性能

(0)測定方法
1)周波数特性
a)機材
    サウンドカード Sound Blaster Audigy2
    発振器ソフト WaveGene Ver. 1.40
  サウンドカードベンチマークソフト Right Mark Audio Analyzer 6.2.2
  交流電圧測定 秋月通商のテスター P-10
    ダミー抵抗 8Ω(セメント抵抗)
b)測定法
WaveGeneで1kHzの正弦波を発生させて アンプに入力した。
アンプの出力ダミー抵抗につなぎ出力電圧を 2.83 V(1W) にして 10 kΩ の可変抵抗で分割してサウンドカードに接続した。
この状態で Right Mark Audio Analyzer で測定した。

2)歪率
a)機材
    サウンドカード Sound Blaster Audigy2
    発振器ソフト WaveGene Ver. 1.40
    オシロ+FFTソフト WaveSpectra Ver. 1.40
  交流電圧測定 秋月通商のテスター P-10
    ダミー抵抗 8Ω(セメント抵抗)
b)測定法
    率特性カーブを描いてみように書いてある方法に従った(文献2)。
  入力を絞るための可変抵抗の操作が困難だったので、PC側でサウンドカードの再生音量を調整した。
3)矩形波応答
    サウンドカード Sound Blaster Audigy2
    発振器ソフト WaveGene Ver. 1.40
  オシロ SoundCad Scope V 1.30
  交流電圧測定 秋月通商のテスター P-10
    ダミー抵抗 8Ω(セメント抵抗)

(1)周波数特性
ここに結果を示す。
 20 Hz から 20 kHz までフラットだった。

(2)歪率
a. THD
ここにグラフを示す。
100 Hz, 1 kHz, 10 kHz ともに 0.1 W~8 W で 0.012 %以下と十分な値だ。

b. THD+N
通常歪率というと a の THD ではなく THD+N のほうなのでその結果も示す。

 (3)矩形波応答
a) 100 Hz の出力波形
ここに示す。
矩形波の水平部分が下がってしまっている。
b) 1 kHz の出力波形
ここに示す。



(文献)
1.Kymberly Schmidt、EDN  Japan、200.7.7、オーディオ品質を高めるためのコンデンサの選び方
2.歪率特性カーブを描いてみよう.


(付録)
買い物リスト
買い物リストをここに示す。

(2009.06.04 追記) 高音域の音質の改善
47uF の積層セラミックコンデンサをカップリングコンデンサに使ってたが高音域がひずんでるような音だった。(文献 1)にあるように X7R の積層セラミック(FK20X7R1E475K25V,4.7uF,X7R,許容差±10%)にかえたところ改善した。やはりカップリング コンデンサはフィルムコンデンサがいいのかもしれない。 
アンプ基板上の電解コンデンサ 470uF25V x 2 と並列に 10uF25V x 2 の積層セラミックコンデンサを入れた。


(2009.06.06 追記) 音の不鮮明さの改善
積層セラミックをカップリングに使うのはやはり駄目のようなので フィルムコンデンサ(ニッセイ電機 MTFF050J185)にかえた。
以前より低歪なのに音がよくないという問題があった。これは出力電圧を0Vに調整する回路の問題だった。回路図を差し替えた。

(2009.06.09 追記) 大編成になったとき 小さい音が不鮮明になる問題の改善。
ACアダプタを2個から4個に、電源基板を2個にして左右別電源とした。
多少改善された気がする。

(2009.06.09 追記) 高音がきらめいてる中メロディが流れたときに。高音がきれいに分離しない問題の改善
0.1uF と 10uF のコンデンサに積層セラミックを使っていたので、これを 0.1 uF のフィルム と 10 uF の電解コンデンサに変えた。
高音がきれいに分離するようになった(回路図を差し替えた)。

(2009.06.15) 歪率測定法の改善
1.今までマイク端子で測定していたが。ライン端子にした。
2.信号線でのノイズをへらすため、出力と並列に680Ωの抵抗をいれた。
ライン端子にすると周波数フィルターがきかないのか 20kHz以上に巨大なノイズがある。このため THD+N が測定できない。
この方法で測定した THDを示す
本文中の THDのグラフと形が違うのは 右チャンネルと左チャンネルの違いだろう。

(2009.06.21)入力コンデンサの容量不足
2009.06.06 に 1.8 uF のフィルムコンデンサに交換したが、入力インピーダンス不足で低域がカットされ歪が増えたようだ。2009.06.15 の結果で高振幅側で歪が増えてるのはこのせいかも。
LM7171 の入力インピーダンスは十分高かったので、ゼロ点調整VRにつながってる 22 kΩを 100 kΩに交換した。

(2009.10.09)シミュレータによる100kHz 矩形波の応答

8Ω負荷でスルーレト 75V/usecくらいかな 十分ハイスピードだ。

(2009.10.21) 4Ωスピーカーを接続可能に(未製作)
このアンプは8Ωのスピーカー専用に作ったが、今年になって4Ωのスピーカーを買ったので4Ωのスピーカーも鳴らせるように回路をかきかえた。
ドライバー段と終段のトランジスタを交換した。
ついでに、入力端子からの高周波ノイズを増幅してしまわないように100pFをつけた。
(未製作なので4Ωフルパワーでトランジスタが飛んだらごめんなさい)
回路図はこれ

(09.11.16)矩形波応答
(測定)
1)発振器
LMC555を使い矩形波発振回路(回路図はこれ)
を作り、100kHz, 10kHz, 1kHz, 100Hz の信号源とした.

2)オシロ
日立 V-252 20MHz を用いた

(結果)
(1)100Hz

1)元信号 水平 1ms/div 垂直 0.5V/div          2)水平 2ms/div 垂直 5V/div

このギザギザは何だろう?

(2009.11.29) 4Ωスピーカーを接続可能に2(未製作)
前回のは 位相補償がダメダメだったのでちょっと本気で書き直した。
回路図はこれ

(2010.01.05)終段の電源を前段とわけた
回路図はこれ
THDはこれ
かすかに感じてていた音が鳴ってるときの雑音ぽさが無くなった(と思う)。


2009.03.14 sけいし(s_keishi@yahoo.co.jp)

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