小粋-001



ポータブル、ヘッドフォンアンプ

吟影-002

[1]回路

ボルテージフォロワーを初段として追加することで、小型小容量の音のよいフィルムコンデンサをカップリングコンデンサとして使えるようになった。
反転増幅式の増幅段の採用で、何本もの配線を集中したり太いバスバーを使用する等大げさで複雑になりがちなアースラインの配線が単純化でき結果的に音質が向上した。
電源電圧の中点電位を作成する回路で正負電源作成する方式の採用で、電源ラインを流れる電流に含まれる高調波成分を小さくでき音質向上に結びついた。 
低電圧用のICを使用し回路的には2.7V~5Vで動作。単四電池三本(アルカリ電池4.5V、ニッケル水素電池3.6V)で利用可能となった。
最大出力 100mW x 2, 負荷インピーダンス 64Ω~16Ω, ゲイン 2倍。
lm4808のノイズのためか、通常のヘッドフォンでは問題ないが、高能率ヘッドフォンではかすかに雑音が聞こえることがある。

[2]部品



<特徴>
オールフィルムコンデンサ構成でクリアな音質。
<部品>
(1)抵抗
全てニッコームRP-24C
(2)コンデンサ
カップリングには Evox-Rifaのポリプロピレンコンデンサ PHE450KB6100JR06  または   Vishayのポリプロピレンコンデンサ MKP1837-410-011
その他は全て Arcotronicsのメタライズドポリエステルコンデンサ R82DC3100DQ50   
(4)アンプIC(音質に優れた定番オペアンプlm358ヘッドフォンアンプIClm4808を採用)
初段 lmv358、 増幅段 lm4808, 電源分割 lm4808
(5)ボリウム
Linkman RD925S
上記部品は全て比較試聴してみて音がよかったのものです。

(注意)
カップリングコンデンサは、設計上はPHE450ですがサイズが大きくケースのフタが閉まらないため4号機からMKP1837に変更しました。私の好みはPHE450ですが両者とも甲乙つけがたい音質です。

[3]性能


(1)無負荷時(ラインアンプとしての性能)
RMAAの結果を示す
Frequency response (from 40 Hz to 15 kHz), dB
+0.04, -0.61
Good
Noise level, dB (A)
-95.3
Excellent
Dynamic range, dB (A)
95.4
Excellent
THD, %
0.0052
Very good
THD + Noise, dB (A)
-82.2
Good
IMD + Noise, %
0.0092
Very good
Stereo crosstalk, dB
-92.1
Excellent
IMD at 10 kHz, %
0.0066
Excellent
General performance
 
Very good


(2)47Ω負荷時(ヘッドフォンアンプとしての性能)
RMAAの結果を示す
Frequency response (from 40 Hz to 15 kHz), dB
+0.04, -0.61
Good
Noise level, dB (A)
-99.3
Excellent
Dynamic range, dB (A)
99.1
Excellent
THD, %
0.040
Good
THD + Noise, dB (A)
-65.9
Average
IMD + Noise, %
0.049
Good
Stereo crosstalk, dB
-57.9
Average
IMD at 10 kHz, %
0.064
Good
General performance
 
Good

Good程度の評価の月並みな数字が並びますが、GoodということはRMAAで測定可能な特性的には問題が無いという受け止め方でいいとおもいます。
クロストークが-57.9dBとアベレージになってますが、-60dBあれば優秀ということなので一応合格です。
経験的には、RMAAの特性で闇雲に Excellent を並べるより、部品や配線パターンに注意したほうが良い結果が得られます。


<小粋開発の経緯>
音の生々しさとDTM等のモニタ用にも使えるバランスを両立させたヘッドフォンアンプ吟影シリーズを電車の中でも使いたいという要望から、吟影シリーズから電源フィルターを取り外して電池駆動にして、移動使用できるようにしたのが小粋-001です。電池の内部インピーダンスの問題や低電圧ICの性能の問題もあり吟影シリーズと同等とまではいきませんが十分な音質に仕上がりました。

2012.4.10 sけいし (s_keishi@yahoo.co.jp)

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