op15w120226

現代的OPアンプ+バッファー型パワーアンプの試作

[1]回路図

回路図をこ こに示す。
歴史的な、OPアンプ+バッファータイプのパワーアンプに比べて以下のような特徴がある。
1.出力段にエミッタダイオード式のトランスリニアバイアス回路を用いている。
(1)トランスリニア出力段に流れる電流波形は、通常のB級出力段に流れる波形より高調波成分が少なく。電源経由の高調波ノイズの回り込みの低減が期待できる。
(2)トランスリニアバイアスはカットオフしないので、出力段にコンプリメンタリのダーリントントランジスタを用いてもカットオフによる高周波特性が劣化が無いと期待できる。
2.スイッチング電源モジュールを電源に用いており、LCフィルタと多段型リップルフィルタで電源ノイズを除去することにより十分なローノイズを実現している。
3.正負2電源ではなく、単電源から電源分圧によって中点電位を作り出す方法をとっているため、電源ラインに半波の波形ではなく合成された電流が流れるため高調波電流成分の量が少ない。
歴史的なアンプでもありがちな以下のような特徴ももっている。
1.入力段にボルテージフォロワーを使ってるため入力インピーダンスが高く、小型・小容量の音質のいいフィルムコンデンサが使える
2.電圧増幅段が反転増幅になってるため、基板上のアースの取り回しが簡単。

指定部品
1.抵抗 
電源フィルター部以外は、ニッコームRP-24Cを全て使うこと。
2.コンデンサ
カップリングコンデンサと zobel 用のコンデンサは、Evox-Rifaのプロピレンコンデンサ PHE450 を使用のこと。
電源分割用コンデンサは、RubiconのケミカルコンデンサYKシリーズ と Evox-RifaのプロピレンコンデンサPHE450を並列に組み合わせて使用すること。
パスコンは Evox-RifaのプロピレンコンデンサPHE840 を使うこと

[2]製作

(1)ケース内部


モノラルのパワーアンプが2台が納まっている。

(2)基板

電源分割コンデンサのうち 100uF と10uFは基板の裏についている。

トランスリニア部 トランジスタとダイオードを接着の上 立体配線

(3)基板アートワーク



[3]性能

(1)無負荷時のRMAA
RMAA_op15w120226/op15w120226.htm
Frequency response (from 40 Hz to 15 kHz), dB
+0.03, -0.28
Very good
Noise level, dB (A)
-104.0
Excellent
Dynamic range, dB (A)
104.0
Excellent
THD, %
0.0006
Excellent
THD + Noise, dB (A)
-97.1
Excellent
IMD + Noise, %
0.0028
Excellent
Stereo crosstalk, dB
-78.0
Very good
IMD at 10 kHz, %
0.0019
Excellent
General performance
 
Very good


(2)8Ω負荷1W出力時のRMAA
RMAA_op15w120226/op15w120226_8ohm.htm
Frequency response (from 40 Hz to 15 kHz), dB
+0.03, -0.27
Very good
Noise level, dB (A)
-104.3
Excellent
Dynamic range, dB (A)
104.4
Excellent
THD, %
0.0039
Very good
THD + Noise, dB (A)
-85.7
Good
IMD + Noise, %
0.0041
Excellent
Stereo crosstalk, dB
-61.9
Average
IMD at 10 kHz, %
0.0042
Excellent
General performance
 
Very good


THD+N、IMDともにCD音質96dBには及ばなかった。IMD+Noizeが0.0042%と非常に小さいのはこのアンプがざらつき感の少ないなめらかな音を出すことを裏付けている。
クロストークが-61.9dB となってるが、デュアルモノアンプ構成でこの数字は悪すぎる気がする。測定系の問題なのかもしれない。

(試作経緯)
Topping のデジタルアンプTp10-mk4 を改造したところ素晴らしい音になった。カタログ値をみても凡庸な静特性でしかないワンチップデジアンでこの程度の音が出せるのなら、OPアンプ+バッ ファアンプでも同じレベルの音が出せるのではないかと考え本アンプ試作した。 結果は、良好で 当サイトの目標であったワンチップデジアンの音をきめ細かくしたようなパワーアンプが実現された(ような気がする)。
本アンプは、コンデンサの設計電圧が不足してる・中点電位コントロールのサーボが上手く働かない等、問題点が多くあくまでも試作なので、近いうちに、ちゃんとしたOPアンプ+バッファータイプのパワーアンプを作るつもりである。



2012.4.11 sけいし (s_keishi@yahoo.co.jp)
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