Spice で聴く 金田アンプ・窪田アンプ・別府アンプ


<お題目>
[1]金田風アンプ (結果 元信号)
[2]窪田風アンプ (結果 元信号)
[3]別府風アンプ (結果 元信号)

拙作アンプ Trpower0901改3-4(結果 元信号

[1]金田風アンプ

Λコン氏のサイトに”金田式オールFETパワーアンプの回路図がある。まずはこれを聴いてみよう。
(1)回路図
LTSpiceで書き直した回路図をここに示す。

(2)周波数特性

スピーカーを繋いだときのカーブも示す。

0.01dBしかない。フラットだ

(3)THD
入力0.6V(p-p) で 0.0034%(1kHz) 大変良い

(4)ダンピングファクター
DF = 970   問題なし。

(算出方法)
4Ω時の出力電圧 V4= 6.5389V
8Ω時の出力電圧 V8= 6.5456 V
出力インピーダンス Z =  (6.5456mV-6.5389V) /( 6.5389V/4Ω - 6.5456V/8Ω)=0.0067/0.816= 0.0082 Ω
公称インピーダンスを8Ωとすると ダンピングファクター DF = 8/0.0082 = 970

(5)スルーレート(SR)
100kHz矩形波の応答を示す。

優秀だ。


(5)試聴
インターネットで拾ったスピーカーのモデルを繋いでシミュレートした。
結果 元信号

少しお化粧したような音になっている。

(シミュレートに使ったスピーカーモデル)

(6)評価
音がいい。すこしお化粧したような感じがする。

(2010.01.26追記)完全対称アンプを採用しなかった理由
金田アンプといえば完全対称アンプだろうという話もあるが、完全対称アンプは電流-電圧変換部をアンプ内部に持たず電流ー電圧変換をスピーカーのインピーダンスに頼っているという欠点がある。、Solidstate man氏の金田式完全対称アンプもどきでこの様子をみてみよう。
シミュレーションに使った回路図はこれ
抵抗負荷のとき

0.01dB程度しか変化しないフラットだ。

スピーカーモデルを使ったとき

0.3dBほど変動している。1kHz付近を2dBも上げると音の印象はかなりかわる。0.3dBの変動はそれに比べて小さいかもしれない。でもこの大きさはスピーカーの種類によって変化するのだ。

[2]窪田風アンプ

お次のネタは窪田アンプだ。

窪田アンプの回路図はインターネットに落ちてなかったので、Power-MOS FET A級30Wパワーアンプ の回路図を参考にシミュレートする回路を作った

(回路図)
回路図はこれ


(2)周波数特性

スピーカーを繋いだときの周波数特性

凸凹も少なく 0.005dB しか変化しない。フラットだ。

(3)THD
入力1.2V(p-p) で 0.00037%(1kHz) 良い。

(4)ダンピングファクター
DF = 8862
良好

(算出方法)
4Ω時の出力電圧 V4= 6.20463V
8Ω時の出力電圧 V8= 6.20531V
出力インピーダンス Z =  (6.2053V-6.2046V) /( 6.2046V/4Ω - 6.2053V/8Ω)=0.0007/0.775 Ω= 0.0009 Ω
公称インピーダンス8Ωとすると ダンピングファクター DF = 8/0.0009 = 8862

(5)スルーレート(SR)
100kHz矩形波の応答を示す。

悪くない。

(5)試聴
SPモデルをつないだ状態でシミュレートした。
結果 元信号


(5)総評
音がいい

[3]別府風アンプ

Λコン氏のサイトに”別府アンプの回路図がある。まずはこれを聴いてみよう。
(1)回路図
LTSpiceで書き直した回路図をここに示す。


(2)周波数特性

一見良好そうだが、別府アンプは通常の電流帰還型アンプではなく、電流出力のアンプに負帰還をかけたものだからスピーカーのインピーダンス変化によりゲインが変化し周波数特性があばれる。
スピーカーモデルを繋いだ時の周波数特性を以下に示す。


0.3dBと窪田アンプ金田アンプ等と比べると極端に大きい。 スピーカーの周波数特性の暴れからするとわずかなずれだが敏感な人は音の違いを感じるかもしれない。

(3)THD
入力1.2V(p-p) で 0.044(1kHz) 悪い。

(4)ダンピングファクター
DF = 31
トランジスタアンプにしては相当悪い。

(算出方法)
8Ω時の出力電圧 V8= 5.305V
16Ω時の出力電圧 V16= 5.144V
出力インピーダンス Z =  (5.305V-5.144V) /( 5.144V/4Ω - 5.305V/8Ω)=0.161/0.622 Ω= 0.258 Ω
公称インピーダンス8Ωとすると ダンピングファクター DF = 8/0.258 = 31

(5)スルーレート(SR)
100kHz矩形波の応答を示す。

素晴らしい
(5)試聴
SPモデルをつないだ状態でシミュレートした。
結果 元信号

きめ細やかさに欠けた音

(5)総評
きめ細やかさに欠けた音
電流帰還型だけにSRはいいが、あとの性能がいまいち。このアンプのおかげで電流帰還型アンプの評判がぱっとしないのかも。


(2009.12.14 追記)うめめ氏の試聴結果
金田風アンプ 派手。 ちょっとハイあがり。 聴いた感じはいちばんよく聞こえるけど原音と違う。
窪田風アンプ フルートが歪っぽい。チェロが太くなるかわりに音階があまい。ダメアンプ。
別府風アンプ 一番オリジナルに近い。
Trpower0901改3-4 チェンバロが丸い感じ。別府風アンプと似た感じ。
うめめ:: バイオリンは元々歪みだらけの楽器なんで 歪はどれも殆ど同じ。
うめめ:: フルートとチェロとチェンバロの立ち上がりだけ聞いてる。
うめめ: オリジナルに比べてどれもハイ上がりに聞こえるのは歪み乗っかってるってことやね。
(Trpower0901改3-4が別府風アンプに負けたのは不満だが、だいたい筆者の感じとあっている)

(2009.12.14 追記)SeekLet Emotion氏の試聴結果
別府風アンプが一番いい。オリジナルよりさらに生き生きとしている。
窪田風アンプは変な音。ダメアンプ。
オリジナルの信号は味気ない。
(こいつは結局。。。歪がすきなんだな。。。。)
SeekLet Emotion: 曲作りのときは正確なアンプがほしいけど、普通の人には何でも気持ち良く聞こえるアンプのがいいんじゃない?

(2009.12.14 追記)別府アンプに負ける訳
Trpower0901改3-4の出力には、容量性負荷の補償用のコイルが入ってるためSRが制限されている。そのせいかも。
とりあえず コイルはずした結果にさしかえた。

(2009.12.15 追記)窪田アンプのさしかえ
まともな回路図があったのでさしかえた。


2009.12.14 sけいし(skeishi@yahoo.co.jp)
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